NAKANOJO BIENNALE 2027 2027/9/18 (Sat)-10/24(Sun) 9:30-17:00 無休

ECHOING GREEN 響きわたる草原

この地で響いた祭典の余韻が中之条の山あいに溶け込み、いま、新たな季節の鼓動へと姿を変えようとしています。私たちは「第10回」という一つの大きな円環を閉じ、その熱量を確かな糧として、次なる10年、そしてその先へと続く未知の領域へ足を踏み出します。20年の歳月が耕し続けてきたこの土壌から、いま再び、瑞々しい表現の芽が吹き出そうとしているのです。
この新たな幕開けに際し、私たちがこれからの旅路の道標として掲げるのは、18世紀の詩人であり画家でもあったウィリアム・ブレイクが、その詩集『無垢の歌』の中に遺した「響きわたる草原(The Echoing Green)」という一篇の詩です。思えば、私たちの歩みは常に「理想郷(ユートピア)」への探求でもありました。第9回においては、ドイツの地理学者セバスチャン・ミュンスターの『コスモグラフィア』をテーマに、未だ見ぬ道を辿る行為自体を作家の創作活動に重ね合わせました。そして地図なき場所へ向かうその足跡の果てに、私たちは第10回のテーマ『光ノ山』という桃源郷へと到達しました。そこでは、かつての産業(養蚕や鉄鉱石の採掘など)が放った光の先に、アーティストが描き出した「新しい世界」の風景が鮮やかに広がっていました。

2027年、私たちが向かう「響きわたる草原」は、これまでの探求をさらに深め、ブレイクが想像した無垢(Innocence)の世界を、ここ中之条に現出させる試みです。ブレイクが描いた草原では、太陽が昇り、祝祭の鐘の音とともに春が祝福され、子供たちの無垢な歓声が緑の野原を駆け回ります。その傍らでは、老いた樫の木の下で老人たちが、かつての自分たちの姿を子供たちに重ね、穏やかに微笑んでいます。

ここには、過去(老人)と未来(子供)が同じ草原で交差する瞬間が鮮やかに描き出されています。それは、過ぎ去った記憶と、これから生まれる希望が、同じ今という時間、同じ土という空間で手を取り合う、奇跡のような共鳴です。かつてこの地を愛し、耕し、やがて土へと還っていった人々の魂。そして、その土の上で新しい遊びを始める子供たち。中之条という土地が何千年も繰り返してきたこの「生命の循環」こそが、今回テーマにした「ECHOING GREEN」です。

このテーマにおいて、私たちが象徴的に用いる草原(GREEN)とは、中之条という広大な土地であり、そこに生きるコミュニティという名の肥沃な土壌に他なりません。緑の色には、厳しい冬を経て再び芽吹く再生への祈りと、絶え間なく繰り返される輪廻、そして受け継がれていく生命の営みの意味を込めました。第10回というひとつの大きな円環が閉じ、今また第11回という新しい命が萌え上がろうとしています。死は終わりではなく、次の生を育むための沈黙であり、このコミュニティという草原は、過去の記憶を養分として、より深く、より鮮やかな緑を湛えて未来を待っています。

そして、その広大な草原を震わせ、命の連鎖を可視化させる響き(ECHO)こそが、アーティストたちが放つ作品です。芸術とは、決して孤立した点ではなく、コミュニティという草原に向かって放たれる、ひとつの切実な呼びかけです。アーティストが土地の声に耳を澄ませ、そこから掬い上げたエコー。それは彼らが生み出す作品そのものであり、残響となって空間を満たしていきます。

第11回中之条ビエンナーレ。それは、過去から手渡されたバトンを、次の世代へと繋ぎ、未来へと響かせるための祝祭です。太陽が昇り、草原が輝き、やがて影が伸びて夜が訪れる。けれど、その暗闇の中でもエコーは絶えることなく微かに響き続け、次の世代の夜明けをじっと待っています。終わりは常に始まりを孕み、一人の表現者が残した響きは、必ず新しい何かを芽吹かせる力となります。

砂粒の中に世界を見つめ、一輪の花に天国を見るように、私たちは中之条というこのひとつの草原から、生命の大きな循環と、ブレイクが夢見た無垢なる理想郷を感じ取ろうとしています。過去と未来、老人と子供、生と死が、ひとつの緑の上で交差するこの場所で、あなたもまた、ひとつの大切なエコーとして加わってください。 私たちの声が重なり合い、共鳴したとき、中之条の草原は、かつてないほど多層的な、永遠の緑に染まりゆくはずです。
新たな命の継承が始まるこの場所で、再び皆さまと創造の響きを交わせることを、心より楽しみにしております。

中之条ビエンナーレ

中之条ビエンナーレは、群馬県中之条町で隔年開催される国際現代芸術祭です。
雄大な山々に囲まれた風景やラムサール条約湿原、長い歴史を持つ温泉郷、養蚕天蚕文化、伝統が受け継がれる民俗行事や祭事など、中之条町には他では見られない美しい里山文化に触れることが出来ます。アーティストは特色ある山村地域に開かれたアーティスト・イン・レジデンスで滞在制作を行い、その成果を中之条ビエンナーレで発表します。
この度、第10回を迎える中之条ビエンナーレ2027では、国内外から創造的、革新的なアイデアやプロジェクトを持つ多分野のアーティストによる作品展示、パフォーマンスなどを開催します。

【展示期間】2027年9月18日(土)-10月24日(日)の37日間 9:30-17:00 無休

アーティスト

中之条ビエンナーレ2027の発表は2027年4月を予定しております。
(2026年5月2日現在)

2027作家公募について
締切:2026年7月12日(日)
アーティスト一覧
(過去参加アーティストをご覧いただけます)

展示エリア・会場

群馬県中之条町内の5つのエリアで開催。
「中之条市街地」「伊参」「四万温泉」「沢渡暮坂」「六合」エリアと広大に広がります。
2027年の展示会場は30箇所程度を予定、そのほかパフォーマンスなどを行います。
(エリア名:なかのじょうしがいち、いさま、しまおんせん、さわたりくれさか、くに)

会場
(2025開催時の情報を参考にご覧いただけます)

鑑賞パスポート

詳細未定

中之条への交通アクセス

公共交通の無い会場が多数ありますので、出来るだけお車での来場をお勧めいたします。各エリアに無料駐車場をご用意しております。

・お車の場合 – 関越自動車道「渋川伊香保I.C」より40分
・高速バスの場合 -「東京駅」「新宿駅」より直行便で3時間
・電車の場合-上野駅より特急草津で2時間
※公共交通で六合(くに)地区へお越しになる場合は、「長野原草津口」駅より路線バスをご利用ください。
(運行数が少ないのでご注意ください。)

交通アクセス詳細

概要

展示会場
群馬県中之条町 町内各所
展示期間
2027年9月18日(土)-10月24日(月祝)の37日間 9:30-17:00 無休
イベント内容
温泉街や木造校舎など町内各所で絵画、彫刻、写真、インスタレーション等の展示のほか、パフォーマンスを開催


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